技術解説
溶血性貧血の検査法
小宮 正文
1
KOMIYA MASAFUMI
1
1東大医学部上田内科
pp.17-23
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916710
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I.溶血性貧血の概念
造血巣から血液の中に送られて来た赤血球は110〜120日ぐらいの間に老廃して死滅する。そうすると,血液の中にいつも同じくらいの赤血球数が存在するためには,造血巣から単位時間に補給される赤血球数が老廃死滅赤血球数とほぼ等しいことになる。健康人の血液中の赤血球数はこのようにして比較的恒常的な値を保っている。たとえば500万/cmmというごとくである。
一方,赤血球が死滅すると,その主成分である血色素もなんらかの過程で代謝されるわけであるが,血色素成分のポルフィリン環は代謝されてビリルビンに転化し,肝細胞の働きでグルクロン酸結合型となり胆汁に排出される。健康人の血清ビリルビン濃度は0.5〜1.0mg/dlで,その大部分はいわゆる間接型ビリルビンである。
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