研究
Gel-Filtrationによる異常蛋白血症の検査法
伊藤 忠一
1
,
庄司 景子
1
,
狩野 明
1
,
白沢 満
2
1東北大学付属病院中央検査部
2東北大学付属衛生検査技師学校
pp.294-297
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916707
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
異常蛋白血症を伴う数多くの疾患についての検査法は免疫電気泳動法や超遠心分析などの高度の技術の導入により,最近著しい発展をとげた。しかしながら,これらの検査法はその装置が余りにも高価であり,それに要する技術も極めて繁雑でしかも難解であって,日常検査としてはまだまだ採用され難い。しかし,gel-filtrationによって血清蛋白を分画する試みは1966年Flodin等1)の報告以来幾つかの報告がみられ2)3),Kyle等4)もこれを多数例の原発性macroglobulin血症について行い,電気泳動法で同じくγ-globulin分画の増加をみるmultiple myelomaの鑑別に用いうる簡便な方法であることを強調した。
著者等5)は先にparaproteinemiaのスクリーニング試験として,0.1N NaOH,0.1N HCl及びCrCl3による血清のGel化反応を報告したが,今回は更に,粒子内に拡散する最大分子量が20万であるSephadex G-200を用いたgel-filtrationによりmultiple myeloma,原発性macroglobulin血症,肝硬変症,関節リウマチ,ネフローゼ症候群の患者血清を分画し,それら異常蛋白血症の検査法としての価値について検討を加えた。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.