技術解説
梅毒補体結合反応—緒方法<2>—操作法と結果の検討
横山 芳郎
1
,
江口 雪子
2
1昭和大学医学部臨床病理
2昭和大学医学部中央臨床検査部
pp.487-492
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916666
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実際の操作法とその意義
I.抗体
抗体として血清を4倍に稀釈する意義:以前は血清を10倍稀釈にして用いており,現在でもそのように指示している解説書もある。しかし近年では4倍稀釈でおこなうところが増加している。抗体を鋭敏に検出するにはなるべく濃い血清を用いるほうがよいことは言をまたない。しかし血清には抗補体性物質が含まれており,そのためにある程度稀釈して抗補体性の影響を少なくしないと検査判定がむずかしくなる。徳永2)は11.39倍稀釈以上で抗補体性を示すような血清は59例中3例であって5.1%にすぎず,それゆえこのあたりを基準にとればまず検査に大きい支障をきたさぬと考え,計算に便利なように10倍稀釈と定めた。血清の抗補体性を高める原因には保存の状態と保存日数が大いに関係がある。徳永の研究は昭和28年であるが,その後血清の保存管理法も改善され,血清の抗補体性にたいする問題にさほど神経をつかう必要もなくなってきた。昭和35年に緒方ら3)は反応の鋭敏度を高めるため,血清を4倍稀釈でおこなうことについての系統的研究を発表した。血清濃度をあげるためにはいろいろの制約がある。すなわちi)血清の抗補体性の問題,ii)不活性化血清中の補体の耐熱成分が反応に与える影響,iii)血清中の正常抗ヒツジ溶血素などがそれである。
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