技術解説
手術室内無菌テストの実際—術後創感染源の追求を目的として
酒井 克治
1
1大阪市大第2外科
pp.556-561
発行日 1968年8月15日
Published Date 1968/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916445
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はじめに
抗菌性抗生剤の発達・普及は,手術創の化膿,縫合不全あるいはこれらによる全身感染の危険などを著しく減少させることができた。他方,手術室の施設が近代化するとともに,無菌法が改善され,また消毒剤が改良された結果,手術室内の無菌化は一段と向上してきた。しかしなお,無菌手術創の術後感染を皆無にすることはできず,これがなお依然として1-3%の頻度で発生しているのが現況である。
大阪市立大学医学部第2外科学教室における術後創感染の発生状況をしらべてみると,昭和37年度手術583例中,術後創感染をきたしたものは76例(13.0%)であって,このうち黄色ブドウ球菌(以下黄ブ菌と略記)感染20例(3.4%),大腸菌,変形菌,緑膿菌などのグラム陰性杆菌(以下グ陰杆菌と略記)感染30例(5.2%),両者の混合感染17例(2.9%),未同定菌感染が9例(1.5%)あった。さらに,昭和41年度の総手術患者650例中術後創感染は66例(10.2%)にみられ,そのうち黄ブ菌感染17例(2.6%),グ陰杆菌感染31例(4.8%),混合感染13例(2.0%),未同定菌感染5例(0.8%)であって,年次的にみても術後の創感染率はほとんど変わっていない。
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