研究
血清コリンエステラーゼ簡易測定法—コリテスト-Pについて
富田 仁
1
,
小延 鑑一
1
,
奥田 尚司
2
1京大・中央検査部
2京大病院中央検査部
pp.449-451
発行日 1968年6月15日
Published Date 1968/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916418
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はじめに
血清コリンエステラーゼ活性は,一般に交感神経緊張症では上昇,副交感神経緊張症では低下の傾向があるし,またワゴスチグミン注射で著減するが,肝疾患だけに限って見ると血清アルブミン量と平衝関係があり,肝の実質障害のとき低下するといわれている。ネフローゼの時は血清アルブミンは著減するが,血清コリンエステラーゼは減少しない。むしろ増加するものさえある。してみると全疾患から眺めると血清コリンエステラーゼは必ずしも血清アルブミン量と平衝関係はないかも知れないが,アルブミン合成能とは関係あるようである1)。とくに重症の肝実質障害のときは血清コリンエステラーゼが著減して臨床的にはなはだ有意義である。
このような臨床的意義があるにかかわらず,血清コリンエステラーゼ活性の測定は原理的には簡単であるが,必ずしも再現性がよくなく,また同一測定法でも検査室間の動揺が大きく,また正常値もかなりの動揺がある。測定法の原理はアセチルコリンを主体とする基質に血清を加えて加温すると,血清中に含まれるコリンエステラーゼの作用でアセチルコリンが酢酸とコリンに分解される。そしてこの生成した酢酸をもとにして間饗的にコリンエステラーゼの活性度を表わしているものが多い2)。
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