特集 グラフ特集臨床検査の基礎
血清検査の基礎手技
寒天内沈降反応—微量2元拡散法
松橋 直
1
1東大医学部血清学
pp.152-154
発行日 1966年11月25日
Published Date 1966/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916049
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寒天・シアノガム・セルローズアセテート膜などの支持体の中を抗原と抗体とを拡散,衝突させて沈降反応を起こらせ,沈降線を観察する方法である免疫拡散法(Immunodiffusion)は,血清成分の増減の定性検査,特定の成分の定性,定量的変化の追跡法として,日常検査の中に入りつつある。免疫電気泳動法は各成分の増減,異常をみるスクリーニング法として適しているが,ここでのべるのは,抗原と抗体とを向いあわせて拡散させる2元拡散法である。これは術式が簡単であるが,多種の成分を含むものから単一物質を精製してゆく過程で精製の程度をみるのに適している。また,抗血清中の抗体が単一であれば,ヒト血清成分の特定の物質,たとえば,rGグロブリンなどを検出できる。また,ごく簡単な定量法としては,単一抗血清の周囲に,検体の連続稀釈したものを入れて,沈降反応の終価を求めることもできる。さらに正確にする場合は,抗血清をあらかじめ寒天に溶かしこんでおき,その平板寒天にあけた穴の周囲にできる沈降輪の直径あるいは,拡大投影して面積を測定して,標準曲線から定量する方法があり,直ちにつかえる形のImmunoplateとして市販もされている。ここでは,もっ之も基本的でしかも実用的な方法のみを記すにとどめてある。
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