新しい末梢脈管機能検査法・1【新連載】
末梢血管の生理
加藤 政孝
1
1岩手医科大学・第2内科
pp.764-768
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914810
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循環系は,おおよそ血液を駆出する動力源である心臓と,駆出された血液が流れる血管とから成っている.
血管系は,左心室から拍出された血液が大動脈を流れ,その分枝した動脈,細動脈,更に毛細管を経て,これらの流出血液が右心房へもどる細静脈,静脈,大静脈から成る閉鎖管系である.生体のあらゆる臓器及び組織には血管が分布し,全身いたるところ血管のない部位はない.ところで,この血管系のうちどの部位から末梢を末梢血管と称するかについては,特に決まった定義はないようであるが,血管の構造及び機能の面から,動脈系においては,主として中膜の弾性組織が減少し1,2),比内腔筋量が増加する2,3),いわゆる弾性動脈から筋性動脈に移行するあたりの部位──もちろんこの移行部が画然としているわけではないが──以下を末梢血管と呼ぶべきであろう.具体的には四肢における上腕動脈,股動脈以下が末梢血管である.この意味では冠血管系,脳血管系,腎血管系,腹部内臓血管系,筋血管系及び肺血管系も末梢血管であるが,これらの血管系は特殊領域の循環として,それぞれ別に取り扱われるのが慣習になっているので,ここでは四肢の末梢血管に限局することにする.
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