今月の主題 造血器
技術解説
造血器疾患の酵素細胞・組織化学および免疫学的染色法
林 祥剛
1
,
浦野 順文
1
Yoshitake HAYASHI
1
,
Yoshinori URANO
1
1東京大学医学部病理学教室
pp.1475-1483
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913174
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造血器疾患の診断において,細胞学的検索と病理組織学的検索の両者は欠かすことはできない.白血病および悪性リンパ腫の診断や亜型分類には,種々の酵素細胞化学的およびモノクローナル抗体を用いた免疫学的検索が行われている.これらの検査法の対象となるのは,一般には塗抹標本,捺印(スタンプ)標本,凍結切片などのなまの検体に限られている.ホルマリン固定・パラフィン包埋標本に染色の可能な方法は多くはない.今日,これら染色の可能な合成樹脂包埋法が開発され,通常の組織標本にもその適応範囲が広げられてきている.骨髄性白血病では依然として,酵素細胞化学が日常診断には欠かすことはできない.単球系と顆粒球系細胞との識別には,発色法を変えたエステラーゼの二重染色が役だつ.ペルオキシダーゼ染色,PAS染色なども,重要で,芽球の同定だけでなく,前白血病状態の際の異常血球の識別にも有用である.PAP法やABC法による免疫学的検索は広く利用され,特にリンパ性白血病・リンパ腫の亜型診断には欠かすことはできない.
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