医学の中の偉人たち・9
Wilhelm Konrad Röntgen 物理学から医学への贈り物
飯野 晃啓
1
1鳥取大学医学部解剖学第1
pp.1034
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913072
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物理学者の発見した現象が医学の世界にこれほどまでみごとに応用されている例は,それを他に発見するのが困難であろう.それはX線である.
Röntgenはドイツのライン地方の織物業者の子として生れた.少年時代は母親の出身地オランダで過ごし,ユトレヒト工業高校に入った.しかしRöntgenは,この高校を卒業直前に中途退学させられている.それはこういうエピソードだ.休み時間,同級生の誰かが黒板に描いてある教師の似顔絵を見て,皆で大笑いしているところに,当の教師が入ってきた.Röntgenに,「その絵を描いた者の名を言え」と言ったが,Röntgenは友だちをかばって答えなかった.こんなささいなことのために教師の怒りをかったRöntgenは結局退学を命ぜられ,この高校を卒業できなかった.そのため,高校卒業資格のいらない,スイスのチューリッヒにある連邦工科大学に入学し,機械工学を専攻することになった.
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