私のくふう
分光光度計試料室扉の自動開閉と試料セル霜付着防止の試み
松尾 理
1
,
上嶋 繁
1
1近畿大学医学部第二生理学教室
pp.574
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912571
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分光光度計は,検査室および研究室においてもっとも頻繁に用いられている研究機器の一つであろう.最近,集積回路の発達に伴ってハードウエアの改良が著しく,マイクロコンピューターを組み込んだ分光光度計もすでに市販されている.そのためデータ処理も測定と同時に可能な場合もある.しかし,分光光度計に測定試料を調製するまでのプロセスに関しては,まだ十分な配慮が払われていない.例えば,一般生化学的手法において,研究材料あるいは測定試料を低温条件下で処理しなければならないことが多い.ゲル濾過による試料の分離調製を低温室内で操作することも,その例である.試料を低温室で分離調製できても,UVモニターが無い場合には分光光度計でマニュアル操作により吸光度を測定しなければならない.この際,通常の分光光度計では,吸光度を直ちに測定することができない.なぜなら,調製した試料の温度と室温との温度差のために,分光光度計のセルに空気中の水分が霜となって付着し,正確な吸光度が測定できない事態が生じるからである.特に梅雨期のように,空気中に湿度が高い場合にこの現象が顕著である.また,サンプル数が多い場合,分光光度計の試料室の開閉が煩しくなってくる.すなわち,一つのサンプルについて試料室のふたを開閉のため2回手で操作しなければならず,はなはだ不便に感じることが多い.
筆者らは,上記二点の問題を解決すべく分光光度計の改良型を作製したので,その原理と使用成績について述べる.
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