分離分析の技術Ⅱ・9
ConAセファロースアフィニティークロマトグラフィー—ALPアイソザイムを中心に
菰田 二一
1
,
小山 岩雄
1
Tsugikazu KOMODA
1
,
Iwao KOYAMA
1
1埼玉医科大学生化学教室
pp.1022-1032
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911971
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はじめに
アフィニティークロマトグラフィーとは,1968年,酵素学者として高名なAnfinsenの弟子であるCuatrecasasら1)によって名づけられたクロマトグラフ法の一手段である.この方法は,生体物質のもっとも特徴的な性質である特異的相互作用を利用した親和性吸着クロマトグラフ法と言える.話を早く進めるために,酵素の精製に限って言えば,目的の酵素と特異的,かつ可逆的に結合する物質,例えば酵素の基質,補酵素およびその類似体,特異的酵素阻害剤,アロステリックエフェクター,酵素の抗体などを高分子支持体(セファロース,セファデックス,バイオゲル,ウルトロゲルなど)に固定したものを吸着体として用いる.このため,本法はきわめて効率の高い精製法(10〜50倍の精製度)となりうる.しかし,十分性質のわかっていない酵素へ応用する場合,有効な吸着体を得るまでにはかなりの試行錯誤を覚悟しなければなるまい.また,特異的な吸着クロマトグラフィーとはいえ,ホモジネートをいきなり添加したのでは十分な能力を発揮しにくいし,貴重な吸着体を不必要に汚損するから,硫安分画や従来のクロマトグラフィーとうまく組み合わせて利用するのが得策である.
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