今月の主題 リポ蛋白
技術解説
HDLコレステロールの標準的測定法
野間 昭夫
1
1東京都養育院付属病院研究検査部
pp.723-728
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911276
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1975年のMillerらの報告に始まり,その後の多くの疫学的研究によって,虚血性心疾患など動脈硬化性疾患の発症率と血清高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステロール量とが逆相関を示すことが分かった。その後,この危険予防因子としてのHDLコレステロールに関する極めて多くの報告がなされてきたが,先に示した疫学調査のデータやretrospectiveなデータであり,現在においても,HDLコレステロール値が低いと動脈硬化性疾患を発症し,何らかの処置によってその値を上昇させておくと,それらの疾患の発症が抑えらねるという直接的な証拠は見当たらない.そこで現段階で用いられている多くの測定法に互換性を持たせ,上記のごとき観点に立って,本腰を入れたデータの蓄積が必要であり,そのデータによって,動脈硬化性疾患発症におけるHDLの真の意義が確立されるものであろう.
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