総説
プロスタグランディン—その生理的機能について
山本 皓一
1,2
1東京警察病院産婦人科
2東大
pp.1285-1290
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908751
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プロスタグランディン(PG)は最近の医学,生物学領域におけるトピックスの一つで,すでに膨大な数の研究発表があり,現在なお続々と新しい知見が発表されている.紙数の関係上,それらの詳細にわたることは不可能で,きわめて表面的な概観に止めざるを得ないが,すぐれた単行書や特集,総説1〜3)が多数あるので,問題の細部についてはそれらを参照していただきたい.
PGは図のような構造を有し,1個の5員環を持った炭素数20のモノカルボン酸で,二重結合,水酸基,ケト基などの位置の違いによりA〜Fの6群に分けられ,さらに各群に3種類が区別される.いずれの群も多彩な作用を示すが,その作用スペクトラムはそれぞれ異なり,生物活性と構造の関係を明確な規則として整理することは困難である.いずれのPGも細胞内のマイクロゾームで,アラキドン酸などの長鎖不飽和脂肪酸から合成される.生体内のほとんどすべての臓器や体液中に存するが,その濃度は10−6〜10−9/g程度であり,精嚢,腸,肺などに比較的多い.現在,F群などは合成されて市販されており,産婦人科領域で使用されている.PGの拮抗物質あるいは阻害剤として7—oxa-PGおよび5—oxa-PGの類縁体があり,またアスピリンやインドメタシンもPGの生成,放出を阻害することが知られている.
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