論壇
検査未来学
阿部 裕
1,2
1阪大内科
2阪大附属病院
pp.40-41
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908393
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臨床検査が医学の体系の中で重要な地位を獲得したのはきわめて最近のできごとである.19世紀の診断学上の発見が,聴診法(Laënnec,1816),体温測定(Traube,1850),血圧計(Riva-Rocci,1896)の3つしかないといわれるように,ほとんどの検査は今世紀に生まれた.すなわち,20世紀にはいるとレントゲン線の診断応用と心電図の発明に始まる各種の検査法の開発によって,臨床医学の体系は急速に客観化への道を進むことになった.
わが国の臨床検査学の成長を大まかに3期に分けると,戦後の復興期,中央検査室の普及期,それに現在始まろうとしている再編期となろう.第1期は検査そのものが研究対象として扱われた時代であったが,この時期は検査の実用化によって急速に終わりを告げ,検査の種類が充実するにつれて検査室が作られ,これとともに専門職としての検査技師も生まれた.この過程にみられた思想の流れは,医学の客観化であり,情報化である.
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