技術解説
白血球の変動から見た病態生理・2—単球系およびリンパ球系
古沢 新平
1
1独協医大・内科
pp.1576-1581
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908359
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単球系の異常
1.単球の産生機構と機能
単球の起源については,古くから細胞内皮説と骨髄説とに分かれていたが,近年後者の骨髄造血細胞由来とする説が有力である.また,造血細胞のいずれから分化するかについても,顆粒球系と共通の母細胞から分化する説と独立した別個の細胞系とみなす説とがあるが,近年種々の面から後者の説が有力となっている.エステラーゼ染色において,単球はα-ナフチルアセテートまたはナフトールASアセテートを基質に用いた場合強陽性を示し,ナフトールAS-Dクロロアセテートを基質に用いた場合は陰性ないし,弱陽性を示すのに対し,好中球はちょうど逆の染色態度を示し,両者の有力な細胞化学的鑑別法として用いられている.骨髄細胞をこれらの方法で調べると,両者の染色性をあわせ持った前単球と思われる細胞が認められることから,前骨髄球の一部が前単球に分化するとする考えがある.また,前号で簡単に紹介した軟カンテン法による骨髄細胞の培養で生ずるコロニーには,顆粒球だけでなく,単球またはマクロファージ,あるいは両者の混合したものもかなり認められ,この方法で生ずる各コロニーは,1個の幹細胞が増殖成熟したものと考えられていることから,単球は顆粒球と共通の母細胞から分化する可能性が高い.機能的にも,程度に差はあるが,貧食能,遊走能,殺菌能を有するなど,好中球と類似点が多い.
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