Senior Course 細菌
Pseudomonas cepaciaを同定するための要点
藪内 英子
1
1関西医大微生物
pp.1164
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908266
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検出頻度の高くない菌に出逢うのは心ときめくことである.Pseudomonas cepaciaもそういう菌種の1つである.臨床材料から分離されるpseudomonadsの中でP.cepaciaと同定される菌株は多くない.わが国での分離例は私の経験した限りではまだ10例に満たない.玉葱(ラテン語でcepa)の病原菌としてニューヨーク州で分離命名されたこの菌はその後,世界各国で自然界や院内感染例から分離されているが,自然界から病院内環境への侵入経路はわかっていない.P.aeruginosaやP.maltophiliaに比べてはるかに低い率でしが検出されないが,ときとして血液培養でかなりの菌数がくり返し証明されたりこの菌による尿路感染症が多発したりする.そのような場合この菌に対する心の準備がないと同定に困惑することになる.そこで今回は鑑別同定に役だつP.cepaciaの特徴について述べてみよう.
同定のために届けられた菌株の形態と生化学性状を調べていると,極多毛性pseudomonadでニンヒドリン法によるリジン脱炭酸試験とgluconate brothでの2—ketogluconateの産生とが陽性の菌株に出会うことがある.その時その菌株がP.cepacia‘かもしれない’という期待に胸が躍る.
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