総説
人畜共通感染症—Zoonoses
今泉 清
1
1国立予防衛生研究所獣疫部
pp.1090-1096
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908243
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人畜共通感染症(人畜共通伝染病—このほうがむしろ広く用いられている)とは,脊椎動物とヒトとの間に自然に移行しうるすべての病気または感染をいう.人畜共通感染病では,ヒトと動物との結びつきを明らかにすることがポイントである.したがって,病原,臨床,病変,治療などの細部についてはそれぞれの専門書にゆずるべきである.
人畜共通感染病という言葉はだれがわが国で初めて用いたのかよくわからないが,ギリシヤ語のanthropozoonosesの訳で,初めは人獣伝染病であったが,いつごろからか獣より畜のほうが多く用いられるようになった.Anthropozoonoses(anthropo—ヒトの意味の連結形)は厳密には,ふつう動物に発生している感染病がヒトにきた場合の表現で,これに対して,zooanthroponosesはふつうヒトに発生しているものが動物にきた場合の表現である.現実には,zoonosesが国際的に広く用いられている.日本語は,獣,畜,感染病,伝染病,感染症などまことに多様すぎるので,この際片かなのゾーノーシスを提唱する.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.