研究
チモールフタレインなどを用いての便潜血反応の検討
佐藤 栄良治
1
1丸玉木材KK津別病院
pp.1010-1012
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908217
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はじめに
消化器疾患の診断および治療に胃カメラなどのすぐれた機械により直接的に肉眼で観察することができ,検査に非常な進歩をもたらしているが患者に苦痛をあたえず,手軽に検査ができるまでには至っていない現在では,便の潜血反応も捨てがたい方法であると思われ,今後も消化器疾患の診断および治療経過を追ううえで大切な検査の1つとして多数の検体が処理されるであろう.一方臨床検査試薬の人体に対する無害化が所々で話題になっている昨今,従来すぐれた試薬として使用されている中にも決して安心して使用できるものだけとは限らない.
特に発癌性のおそれのある薬品が問題になっているところである.一般に便潜血反応に使用されているベンチジンもすぐれた試薬であるが残念ながら発癌性物質1,2)の1つとされており,そのおそれのない試薬を用いての検討も必要であろうと思われる.そこで非発癌性の試薬(チモールフタレイン,ジフェニールアミン)による潜血反応について追試し,その成績と以前に報告したベンチジン濾紙反応時間5,6)との相関関係について調べ若干の知見を得たので報告し,諸賢のご指導ご批判を仰ぐ次第である.
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