Senior Course 血液
プロトロンビン時間(Quick 1段法)(2)
鈴木 弘文
1
1神奈川衛生短大,東医大・臨床病理
pp.834
発行日 1971年8月15日
Published Date 1971/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907289
- 有料閲覧
- 文献概要
1.測定原理と意義
被検血漿に十分量の組織トロンボプラスチンと適量のCaCl2液を添加し,凝固時間を測定することにより,外因系凝固機序および凝固第Ⅱ相に関与する第Ⅱ,Ⅴ,Ⅶ,Ⅹ因子の消長を総体的に測定する方法である.したがって,もし異常値(延長値)が認められた場合は,これらの各凝固因子のいずれかに異常があることが推定されるが,そのほか次の場合にも異常値が認められる.(1)フィブリノゲンの量的,質的異常,(2)拮抗物質の増加(抗組織トロンボプラスチン,抗トロンビンなど),(3)プラスミン活性の異常亢進,(4)消費性凝固障害,(5)抗凝血薬(クマリン系誘導体など)の投与,(6)血友病B+(ウシまたはヒト脳抽出組織トロンボプラスチンを用いた場合のみ),(7)重症肝障害などである.
一方,内因系凝固機序に関与する凝固因子,特に第Ⅷ,Ⅸ因子などが欠乏している場合,すなわち血友病A,血友病Bの場合には正常域の値を示す.また第ⅩⅢ因子欠乏症の場合も正常値を示す.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.