1ページの知識 血清
抗体の生物学
水谷 昭夫
1
1京府医大・臨床検査部
pp.989
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906928
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生体防衛機構における抗体
血清検査は本質的には抗原と抗体との反応を調べる手技である.抗体はもとより生体防衛機構上重大な意義をもつタンパクである.抗体を知るためには,その系統発生ともいうべきものを理解せねばならない.
単細胞生物は食作用(phagocytosis)を行なう.この段階では,摂食,すなわち自己を積極的に維持することが,自己を消極的に防衛することと一致しているのである,ヒトにおいても,諸種の食細胞が,生体防衛の緒戦を担当している.このことはE. Heinlich Häckel流にいうならば,生体防衛機構に関しての系統発生(phylogenesis)と個体発生(ontogenesis)の不可分性を物語るひとつのエピソードといえよう.
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