主要疾患と臨床検査・12
骨疾患と臨床検査
星野 孝
1
1日大・整形外科
pp.1256-1260
発行日 1969年12月15日
Published Date 1969/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906633
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骨は活発な代謝を営む臓器であるというと驚く人が多いかもしれない.骨が支持組織,運動器官にすぎず,硬い一定の形をした,そして成人になつてしまえば,ほとんど伸びもしないし形も変らないという誤まった先入観があるかぎり,骨が絶えず新陳代謝を行ない,常時古い骨の部分はこわされて,新しい骨に置き替わっているなどということが,容易に信じられないかもしれない.しかしこれは事実なのである.
骨の組織の中には毛細血管がはいり込み,毛細血管のその先は組織液がしみ込み,その組織液が膠原線維についた骨の結晶(ハイドロオキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2を単位胞とする小さな結晶,電子顕微鏡でやっと見えるくらいの大きさの結晶.格子欠陥があるため,それ以上結晶が大きくなれない)を浸しているのである.ハイドロオキシァパタイトの結晶は非常に小さいから,その表面積は漠大で,1gのハイドロオキシアパタイトの表面積は実に10-200m2もある.このような表面における反応,あるいは結晶格子の置換,イオン交換が常時起こっている.
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