特集 一般臨床検査の要点—受験者の手引きを兼ねて
特集にあたってのことば
樫田 良精
pp.631
発行日 1963年9月15日
Published Date 1963/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906152
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最近の臨床医学の進歩にはめざましいものがあります。これの一つの原因はよく効く新薬がつぎからつぎへと生れるようになったことや,新しい手術や麻酔の技術が発達し,また強力な放射線治療装置が開発されるなどで治療法が以前に比べて非常に有力になったことでありますが,一方実際に役立つ臨床検査法が発達した結果病気を早期に発見して治しやすい早い時期に治療が開始されるようになったこと,治療が適切に行なわれるよう治療中にも必要な臨床検査を駆使して治療をうまくコントロールできるようになったこと,さらに発病しないうちに精密な臨床検査で軽微な異常を探知して予防手段を講じられるようになったことなど,現在の臨床検査の使命はすこぶる重大になってきました。
このような情勢から今日ではどこの病院でも診療所でも毎日たくさんの臨床検査が行なわれています。特殊な技術や高価な検査器械が必要な,あまり簡単でない臨床検査は小規模の医療施設では行なうことが困難なため,この検査を適当な病院へ依頼するとか,加入している共同利用の臨床検査センターへそれを送るとかいうことがすでに日本の各地で始められています。ともかくわが国では臨床検査がますます盛んに行なわれるようになることは明らかでありますし,したがって臨床検査を実施する人手は今後大いに要求されることになるはずです。
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