新しい検査法
抗酸菌のナイアシンテスト
高橋 昭三
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1東大医学部細菌学教室
pp.647-648
発行日 1961年10月15日
Published Date 1961/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905890
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1952年ごろ東北大抗酸菌病研究所で,今野博士はINAH定量に用いるための試薬を結核菌の培養にかけたところ,人型菌のみがき「れいな黄色になることをみた。これが,ナイアシンテストの発見されるいとぐちになったということである。
ナイアシンはビタミンB群の1メンバーであり,その欠乏は皮膚疾患をおこすといわれている。抗酸菌の中では,ヒト型結核菌が,それを多量に(もちろん比較的な話である)産生するが,他の抗酸菌はたかだかその1/20くらいしか産生しない。また菌体中に含まれるナイアシンについても同じようなことがいえる。それで,菌体内または抗酸菌の培養濾液中のナイアシンの定量または定性(半定量)試験を行ない,ナイアシンの多少または有無をしらべると,ヒト型菌か他の抗酸菌かを鑑別することができる。これをナイアシンテスト,または発見者の名にちなんで今野反応というのである。この事実は広く世界に認められ,ヒト型菌と他の抗酸菌の区別,特に非定型抗酸菌との鑑別に用いられている。
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