検査室管理
中央検査室の収入
内海 邦輔
1
1国立東京第2病院病理科
pp.529-536
発行日 1959年9月15日
Published Date 1959/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905617
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめ
病院において近代的医療がなされるためには臨床病理検査室が整備され,その機能が充分に活用されなければならないことは既に本誌その他でしばしば力説されているので,病院経営者にも漸次理解されるようになり,臨床病理検査室(中央検査室)もしだいに整備される機運にあるが,現況はまだ充分ではない。これには種々の理由が考えられるが,そのひとつとしては,従来からの誤まつた観念にとらわれて,日常診療の基盤となるべき臨床病理検査といわゆる研究とを混同し,臨床病理検査をやつても収入にならないばかりか,反対に入揚げであるとの考えかたが残つているのではなかろうか。診療上ぜひ必要で,しかも収入の上も充分黒字になるというしであれば,安心して臨床病理検査室(中央検査室)の整備拡充が行なえるであろう。そして,患者が安心して身体をあずけることのできる病院がそれだけ増えてゆくことになるのである。
著者は本誌より臨床病理検査室の収入について書くことを求められたが,宏く資料を集めるには時間的余悠がなかつたので,手近の資料に基づく記述に止まらざるをえなかつた。しかしそれらの資料をできるだけ多角的に検討し御参考に供したいと思う。とくに今回は社会保険診療報酬点数表の改訂による検査室収入の増減を,甲表,乙表および旧点数表の比較において検討した。さらに各検査種目と収入との関係,病院収入と検査室収入の関係および,想定病院中央検査室の収支の算定などにも言及した。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.