今月の主題 臨床検査測定値の標準化
話題
生化学項目の標準化(1)―福岡県での実践
木下 幸子
1
Sachiko KINOSHITA
1
1九州大学医学部附属病院検査部
キーワード:
施設間差
,
検査値の標準化
,
共有可能な基準範囲
Keyword:
施設間差
,
検査値の標準化
,
共有可能な基準範囲
pp.867-875
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905161
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1.はじめに
近年,医療は経験的なものに加えて科学的根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine;EBM)が重要視されるようになってきた.診療の基を担う検査の分野では,それの有用性や結果の精度(精密度・正確度)が従来にも増して問われるようになり,検査結果の普遍性が必須事項になっている.
日本では,1980年代までは各施設が出す検査値を単純に比較することは,容易ではなかった.この状況を改善するために,日本臨床化学会(JSCC)は,1989年以降,ヒト血清中酵素活性測定の勧告法6項目1)とヒト血清中のクレアチニン,尿酸,中性脂肪,コレステロールについて濃度測定の勧告法を制定した.また,1996年には常用酵素標準物質(ERM)2)の規格を制定するなどして,検査値標準化の基盤を敷いた.最近の日本医師会精度管理調査報告書は,先に挙げた項目のデータの変動幅が,狭い範囲に達していることを示している.
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