目でみる症例―検査結果から病態診断へ・9
頸部にみられた多発性の低エコー腫瘤
谷口 信行
1
Nobuyuki TANIGUCHI
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.1025-1028
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901677
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●超音波像の判読●
図1の右縦断面では,高エコーを示す甲状腺(Th)の背側に,低エコーの腫瘤(矢印)が2個存在する.大きさは頭側が9×7mm,尾側が10×8mmで,境界鮮明,内部は低エコーを示す(図5;図1の説明図).その横断面である図2でも同様の所見で,甲状腺背側に接して低エコーの腫瘤が存在する.一方,左側は図3のように,縦断面で甲状腺上極近くに境界明瞭な低エコー腫瘤が観察され,その横断面でも甲状腺背側に低エコー腫瘤が観察できる(図6;図4の説明図).以上の所見をまとめると,甲状腺背側に多発した低エコー腫瘤であることがわかる.
通常,体表臓器の描出には腹部,心臓と異なり,7.5MHz以上の高周波数の探触子を使用することが多い.なお,頸部の超音波の表示は,縦断面は向かって左が頭側,横断面では向かって左側が被検者の右側となるように表示するように取り決められている.
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