特集 遺伝と臨床検査
III 染色体異常の診断
2.末梢血の各種染色体分染法
10)染色体ペインティング
吉浦 孝一郎
1
,
太田 亨
1
,
當間 隆也
1,2
Kohichiro YOSHIURA
1
,
Tohru OHTA
1
,
Takaya TOHMA
1,2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設遺伝学部門
2琉球大学医学部小児科学教室
pp.175-178
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901302
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●はじめに
1970年代初頭から染色体を染め分ける技術すなわち染色体分染法が開発され,ヒト24種の染色体がそれぞれ分別可能となり染色体異常症や,遺伝性疾患の知見が飛躍的に増大した.染色体分染法は他の項で述べられているように,その染色体上の縞模様(バンド)のパターン・処理法によってG-バンド,Q-バンド,R-バンド1,2)など,数多くある.その中で,本稿では染色体ペインティング(染色体彩色法)と呼ばれる技術について解説してみたい.
染色体ペインティング(chromosomal painting)は,他の分染法とは異なり,スライドグラス上に展開した染色体に,分子生物学的な手法を用いて入手したDNAライブラリーを雑種形成(hybridization)させ,その雑種形成の起こった部位のみを,蛍光が発するようにするものである.蛍光により染色体が絵の具で塗られたように観察できるので,染色体ペインティングと呼ばれている.
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