今月の特集 薬剤耐性(AMR)対策の現状と今後
扉
関谷 紀貴
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1がん・感染症センター都立駒込病院感染制御科・臨床検査科
pp.499
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202706
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わが国における対策の方向性を示した2016年の「薬剤耐性(AMR)アクションプラン」の策定から5年が経過し,薬剤耐性菌に対するさまざまな取り組みによって一定の変化と改善が得られています.その一方で,目標達成に継続した努力が必要な項目,安定した抗菌薬の供給体制,サーベイランスデータの有効な現場活用,検出がまれであった薬剤耐性菌の増加,実効性のある地域単位での取り組みなど,引き続き取り組むべき課題が残されています.
本特集は,これまでの薬剤耐性対策によって実現した内容と今後に向けた課題の共有を目的として企画しました.冒頭では,薬剤耐性対策の現状と展望の全体像のポイントについて,わかりやすく整理されています.続く各論では,問題となっている薬剤耐性微生物と検査法,普及・啓発活動の実際,サーベイランス,感染対策,抗菌薬の使用・開発に関して,対策の前線に立つ先生方から解説いただきました.小児における現状と対策,地域における活動の進め方,動物・環境由来の薬剤耐性対策は注目すべき内容です.
本特集が,薬剤耐性対策の現状と今後に向けた論点と課題を整理していただき,微生物検査室が貢献できる取り組みについて見直す機会となるよう願っています.
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