増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅲ章 波形からみた心電図[2] 不整脈関連Plus
徐脈—P波の有無・QRSのつながり②
石川 利之
1
1横浜市立大学附属病院循環器内科
pp.1272-1277
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200994
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Overview
2:1房室ブロック,高度房室ブロックおよび完全房室ブロック
心臓がポンプとして働くには,心房と心室が交互に収縮を繰り返す必要がある.右心房にある洞結節で作られた電気刺激が心室に伝えられ,心室から肺や全身に血液が送り出される.心房と心室の間に房室結節という中継装置があり,心房と心室の収縮間隔を調整している.房室結節には脈が速くなるほど伝導時間が延長するという減衰伝導の特徴がある.房室結節から心室の間はHis束を伝わり,さらに右脚と左脚に分かれ,末端が心筋に接続している(図1).
His束以下には減衰伝導はない.この伝導に障害が起こったのが房室ブロックである.房室ブロックの程度には1〜3度まであり,伝導時間が遅くなり時間がかかるようになるのが1度で,時々伝導が途絶えるのが2度,完全に伝導が途絶えるのが3度(完全)房室ブロックである(図2).
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