増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅲ章 波形からみた心電図[2] 不整脈関連Plus
徐脈—P波の有無・QRSのつながり①
荒川 修司
1
,
深江 学芸
1
1長崎大学病院循環器内科
pp.1267-1271
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200993
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Overview
徐脈は,心拍数が60回/分未満に低下した状態と定義されるが,臨床的には50回/分未満を指すことが多い.徐脈性不整脈は洞結節の異常による洞不全症候群と,房室結節以下の伝導障害をきたした房室ブロックが代表的である.その他,心房細動において通常は頻脈傾向を示すものが多いが,降圧剤などの薬剤による影響や加齢に伴う房室伝導能の低下によって徐脈傾向を示す場合がある.
徐脈による循環動態への影響は症例によってさまざまである.比較的若年で基礎心疾患を有さない患者では症状が軽く,経過観察ですむ場合もあれば,他方では至急治療を要することがあるため,スピーディーな心電図判読が望まれる.ある程度キャリアがある医療従事者は,異常を察知した検査室からの素早い一報で事なきを得た経験をおもちのことと思う.
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