検査レポート作成指南・1【新連載】
心エコー検査編
戸出 浩之
1
1群馬県立心臓血管センター 技術部
pp.472-480
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200319
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心エコー検査は,機器の準備や患者情報の収集,依頼目的の把握に始まり,適切な画像の描出と記録,読影と計測などのさまざまな工程により構成されるが,その最後にあるのが報告書の作成である.本来,心エコー検査を依頼した医師は,記録された全ての動画像や静止画像を確認し,計測値をしっかりと吟味した後,総合的な判断を下すべきである.しかし,全ての医師が心エコーに精通しているわけではなく,画像の細かい所見の読み方,計測値の意味や誤差要因などを十分に理解しているとは限らない.また,心エコーに詳しい循環器専門医であっても,日々の業務に追われ心エコーの判読のために時間を作るのが難しい現状がある.そこで,それらを補うのが,心エコーを熟知し実際に検査に携わった技師が書く報告書である.
したがって,心エコー検査でどんなに明瞭な画像を記録していても,再現性に富む正確な計測がなされていても,最後の報告書が不完全であったなら,検査で得られた情報が十分に伝わらず,診療に生かすことができない.すなわち,心エコー報告書は担当医の依頼に対する検査担当者の応えであり,検査の目的を十分に把握し,得られたデータを根拠としてエビデンスに基づいた考察がなされ,検査目的に応える回答が記載されなければならない.
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