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書評 臨床薬理学 第3版
五味田 裕
1,2
1就実大
2岡大
pp.406
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102995
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薬は,元来生体作用の強い物質であり,その物質がヒトの身体の歪み,すなわち疾患を治療し,患者の心身の苦痛を癒したとき,初めてその物質に“薬”としての称号が与えられるものと思われる.そこでは薬の物質的特性の把握はもちろんであるが,作用する生体側の病態生理を十分把握しておく必要がある.しかしながら,疾患によってはいまだ十分解明されていないものもあれば,また合理的な薬物治療を施す意味で考慮すべき点も多々存在する.その意味で,日本臨床薬理学会では,薬物治療の有効性と安全性を最大限に高め,個々の患者への最適・最良の治療を提供することを掲げている.
わが国では,基礎薬理学についての参考書は前々から存在していたものの,本格的な臨床薬理学についての教科書は1995年以前存在していなかった.そこで日本臨床薬理学会では,臨床薬理をより体系化するために1996年,『臨床薬理学』の教科書を発行するに至った.その大きな流れの根底には,医療者が合理的な薬物治療を施す際,常に薬がクスリたる真の意義を問うという“評価”の概念が存在していると思われる.薬理の「理」は,まさに薬たる“ことわり”を意味し,それは治療者側からの治療評価,患者側からの満足度評価がなくてはありえない.本教科書では,その双方の「評価し合いながら」という考え方がさらにクローズアップされ,最適・最良の薬物療法を指向する者に対して新しい視点での考え方を提供している.
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