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非アルコール性脂肪性肝炎における転写因子FOXO1の発現および活性の上昇
鈴木 優治
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部
キーワード:
非アルコール性脂肪性肝炎
,
転写因子
,
FOXO1
Keyword:
非アルコール性脂肪性肝炎
,
転写因子
,
FOXO1
pp.983
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101709
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非アルコール性脂肪肝は肝のインスリン抵抗性で特徴づけられ,特に脂肪性肝炎の存在で顕著であり,しばしば高血糖を促進する.脂肪肝とインスリン抵抗性との関係の分子機構はヒトではわかっていない.著者らは,インスリン抵抗性とインスリンのグルコース産生遺伝子(PEPCK)およびグルコース-ホスファターゼ触媒サブユニット(G6PC)への作用を媒介する転写因子であるFOXO1(forhead boxcontaining protein O subfamily-1)の,発現および調節との関係について検討した.FOXO1およびG6PCのmRNAレベルを84人(脂肪肝炎26人,脂肪織炎28人,代謝変化のない正常肝組織をもつ14人,C型慢性肝炎16人)を対象に測定した.PEPCKの発現は脂肪性肝炎で上昇し,HOMA-IR値と相関していた.FOXO1のmRNAレベルは脂肪性肝炎で上昇し,PEPCKおよびG6PCのmRNAレベルやHOMA-IR値と相関していた.また,免疫組織化学により脂肪性肝炎におけるFOXO1発現の上昇と核の局存化が明らかになった.FOXO1のmRNAレベルは非アルコール性脂肪性肝炎活動スコアと相関し,薬剤拮抗作用の肝脂肪形成により調節された.
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