今月の表紙 臨床微生物検査・6
レジオネラ・ニューモフィラ
竹村 弘
1,2
Hiromu TAKEMURA
1,2
1聖マリアンナ医科大学微生物学
2聖マリアンナ医科大学病院感染制御部
pp.600-602
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101633
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Legionella pneumophilaは好気性,ブドウ糖非発酵性のグラム陰性桿菌で,レジオネラ症(在郷軍人病)の主要な原因微生物である.レジオネラ症は中年から壮年の男性に多い比較的重症の肺炎で,L. pneumophilaを代表とするレジオネラ属菌による感染症である.レジオネラ属菌は,ヒトからヒトに直接は感染しないが,空調設備,温泉水,噴水などの不潔な水を含むエアロゾルを介して感染し,しばしば集団発生を起こす.シャワー,加湿器,吸入器などからのエアロゾルからも感染し,病院内感染症としても注意をしなくてはならない.レジオネラ属菌は,2005年現在で50菌種(72血清群)が知られている1)が,ヒトに肺炎を起こすのはL. pneumophilaの血清群1が圧倒的に多い.レジオネラ属菌の発見は比較的新しく,1976年に米国フィラデルフィアのホテルで行われた在郷軍人集会における重症肺炎の集団発生2)が契機となっており,この事件が属名の由来になっている(在郷軍人会:Legionレジオン).レジオネラ症は肺炎型と風邪様のポンティアック熱型に大別される.フィラデルフィアで起こった在郷軍人病は肺炎型のレジオネラ症である.これまでの報告例では肺炎型がほとんどであるが,ポンティアック熱型のレジオネラ症の集団感染も知られている.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.