今月の主題 歯科からみえる全身疾患
巻頭言
歯科からみえる全身疾患
金子 明寛
1
Akihiro KANEKO
1
1東海大学医学部外科学系口腔外科
pp.367-368
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101564
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口腔常在細菌叢は多数の菌種が存在し,不顕性の嚥下性肺炎の原因菌となる.嚥下性肺炎以外にも近年の疫学報告では歯周病関連細菌が,様々な疾患に関与していることが報告されている.口腔常在細菌叢のなかの1/3以上は連鎖球菌属が占めている.嚥下性肺炎の原因菌は連鎖球菌属のほか,各種の嫌気性菌の関与も考えられる.Streptococcus属をはじめとする主要な口腔常在菌は付着能が強いのが特徴である.唾液には1ml当たり109の菌が存在し,歯周ポケットには1010以上の菌が存在する.口腔内細菌は口腔の各部位で細菌叢を構築している.各部位の主な細菌は,唾液:Streptococcus salivarius(20%),Streptococcus mitis(20%),舌背:Streptococcus salivarius(20%),グラム陽性線状微生物(20%),プラーク(歯垢):Streptococcus mutans(0~50%),Streptococcus mitis(15%),歯肉溝:グラム陽性線状微生物(35%),Veillonella属(10%)である.
唾液,舌背の細菌叢は類似し,嫌気性菌の細菌叢に占める割合は低い.プラーク(歯垢)ではStreptococcus mutansの占める割合が高く,viridans streptococciの占める割合が比較的高い.歯肉溝では嫌気性グラム陰性桿菌の占める割合が高い.
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