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1.はじめに
血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase;AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase;ALT)の変動について,先に筆者ら1)は,脂質代謝関連蛋白,特に中性脂肪水解酵素(triglyceride lipase)-肝性リパーゼ(hepatic triglyceride lipase;HTGL),リポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase;LPL),ホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase;HSL),および,脂肪トリグリセライドリパーゼ(adipose triglyceride lipase;ATGL)の産生に伴うアミノトランスフェラーゼの誘導(産生)が考えられることを述べた.
すなわち,集団健診のbody mass index(BMI)区分別のAST/ALT比(ASTとALTの各平均値の対比)1)と中性脂肪水解酵素蛋白分子のアスパラギン酸(aspartate;Asp)とアスパラギン(asparagine;Asn)の残基数の和とアラニン(alanine;Ala)の残基数との比,すなわち,(Asp+Asn)/Ala比(表1)1)との間に関連性が推定されることから,血清アミノトランスフェラーゼが主として,HTGLやLPLなどの中性脂肪水解酵素蛋白の産生に伴い誘導され,血中に遊出したものである可能性が考えられることを述べた.
本稿では,肝炎ウイルス血症における血清アミノトランスフェラーゼ値の上昇についても中性脂肪水解酵素の産生に伴う上昇である可能性が考えられることを述べる.
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