シリーズ最新医学講座・Ⅰ 転写因子・10
転写因子と内分泌疾患Ⅱ:ステロイドホルモン
高柳 涼一
1
,
河手 久弥
1
Ryoichi TAKAYANAGI
1
,
Hisaya KAWATE
1
1九州大学大学院医学研究院老年医学
キーワード:
核内受容体
,
ステロイドホルモン不応症
,
共役因子病
,
FRAP
Keyword:
核内受容体
,
ステロイドホルモン不応症
,
共役因子病
,
FRAP
pp.1159-1166
発行日 2004年10月15日
Published Date 2004/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100573
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はじめに
ステロイドホルモン過剰状態が存在するにもかかわらず,そのホルモンの作用不足を呈する状態,あるいは,ホルモン過剰症状を示さない病態はステロイドホルモン不応症という疾患概念で理解されている.これらの大部分はステロイドホルモン受容体をコードする遺伝子の変異により引き起こされる.ステロイドホルモン受容体は類似の構造をもつ核内ホルモン受容体(核内受容体)ファミリーの一員であり,リガンド依存性の転写調節因子である.近年の急速な核内受容体による転写調節制御の研究の進展に伴い,ステロイドホルモン不応症という概念はステロイド受容体分子の異常という概念から,広く核内受容体の異常,さらに,受容体から基本転写装置に至るシグナル伝達系の異常として考えられるようになり,これらは核内受容体異常症という概念でとらえられる.本稿では,ステロイドホルモン受容体を中心とした核内受容体異常症の成因論と,その実例としての共役因子病(coregulator-related disease)について筆者らの成績を含めて概説する.
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