特別寄稿
「複合体」経営病院の分析試案・1
高橋 紘一
1
1日本福祉大学経済学部
pp.514-519
発行日 2001年6月1日
Published Date 2001/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903298
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いわゆる特別養護老人ホームなどを併設する「複合体」としての病院経営は,様々な点で有利であると考えられているが,実証研究が必要な段階にきている.すなわち,二木立教授(日本福祉大学)によると,「複合体」は「医療・福祉サービス,入院・入所サービスと在宅サービスをワンセットで(自己完結的に)提供することにより,単独施設に比べて,『範囲の経済』や『取引コスト』の削減を実現している,と予想される.ただし,これについての実証研究はまだない」1)からである.
この実証研究のためには,個別医療機関の経営データが必要であるが,探してみると,厚生省(現,厚生労働省)は持っているらしいとの情報を得たが,公開はしないであろうということであった.一般に入手可能なデータとして「週刊東洋経済」の臨時増刊『日本の会社』に掲載されている経営数値があった.しかし,掲載されている経営指標は,次に述べるように大変少ないが,これを利用して,なんとか「複合体」の中核となっている医療機関の経営の一端でも明らかにしたいと考えた.
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