特集 介護保険制度をめぐって
保健・医療・福祉を連携したシステム
要介護高齢者の生活介護支援の調整は誰がするのか?
松本 文六
1,2
1医療法人財団(特定)天心堂
2天心堂へつぎ病院
pp.961-962
発行日 1996年10月1日
Published Date 1996/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901935
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高齢の要介護者を支援するためには,従来の病院医療の考え方を大転換する必要がある.これまでの病院は,治療が終わり,その高齢者を退院させれば,すべて終わりであった.しかし,その高齢者が自宅に帰って再び入院しないで済む方策をも提案してゆかなければ,治療をしたことにはならないことに多くの関係者が気づき始めた.地域医療を真摯に追求しようとすればするほど,病院運営の発想を転換せざるを得なくなってきた.このような考え方は超高齢社会を目前にして,広く日本の医療界に浸透しつつある.保健・医療・福祉の統合した活動という広い意味での医療を私たちは追求せざるを得なくなったし,地域医療病院はとりわけ,その方向性が社会より求められている.
私どもは,良質にして包括的な保健・医療・福祉の一貫したメニューを地域に提供したいと,1980年の病院開設以来努力してきた.15年目にして,病院(101床),2つのサテライト診療所(いずれも無床),老人保健施設(以下,老健)(90床),在宅介護支援センター(以下,支援センター),訪問看護ステーション,健診・健康増進センターをつくりあげ,保健・医療・福祉の連携の中で一人の要介護高齢者をどう支えてゆくのかと考えながらその実現へ向けて努力している.
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