精神保健福祉法と病院の対応・4
チーム医療とマンパワー
三村 孝一
1
1医療法人信和会城ヶ崎病院
pp.696-700
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901869
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概論で仙波1)が述べたように,精神衛生法から精神保健法へ,そしてその一部改正,見直し,さらに平成7年の精神保健福祉法への衣替えと精神医療の基盤となる法律は目まぐるしくドラスティックに変化し続けている.私たち臨床の現場にいるものにとっては,その変化に戸惑い,なかなか追いつけないのが偽わらざる現実であろう.私たちは,精神保健法制定時に精神医療の医学モデルと法律モデルという二つのモデルを学習し,法の趣旨である精神障害者の人権の尊重と社会復帰の促進という2本柱の重要性について再認識させられた.そして今回の精神保健福祉法の制定に当たって,福祉モデルに対応し精神障害者の福祉の充実に努力することが求められている.障害者,特に精神障害者に対しての偏見と差別がいまだに根強く,国民への啓発活動も遅々として進まないわが国の現状の中で,法の趣旨に則って精神医療や看護を実践するためには,精神科医自身の意識改革と自助努力が必要であるが,同時に国自体の精神医療についてのさらなる抜本的な対策が求められよう.これからの私たちの取り組みとしては,以前から主張されている入院中心主義的な精神医療からの脱却(長期入院患者の社会参加,社会復帰の促進)と地域精神医療への積極的なかかわり(外来医療の充実,社会の中でノーマライゼーションを進めるための受け皿の整備)の二つが最も大きな課題として挙げられる.
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