特集 病院管理者としての女性
病院管理者となる女性に望む
女性事務長に望む
梅津 勝男
1,2
1日本医療法人協会事務管理部会
2日比谷病院
pp.450-451
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901805
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病院事務長を求める環境変化
病院事務長の存在が今ほど求められている時代は,過去にあっただろうか.昭和36年に国民皆保険制度となって,「いつでも,どこでも,だれでも」医療が受けられるようになり,医療需要は急速に増大した.このことは,診療所がその規模を拡大したり,病院の新築ラッシュという現象が起きたりで,病院はその数を増していった.しかし絶対的な医師不足は,医療需要の増大に追いつけず,「医療過疎」が問題となり,その結果48都道府県にそれぞれ医学部を開設する施策が取られ,医師の量産体制に入ったことは,新設医科大学の増加がそれを物語っており,まだ記憶に新しい.需要の増大は「病院は倒産しない」という神話を生み,昭和40年代後半に始まったオイルショックによる経済大不況も,医療界だけは別世界だった.銀行の支店長が,「お金を借りて下さい」といって,病院回りをしたのもこの時代である.しかも診療報酬は,このころから50年代中盤まで二桁台の改定率を維持し,49年にあっては1年に2回の改定が実施され,合計すると何と35%にもなる今となっては夢のような,超高率な改定が実施された時代であった.このような状況下にあっては,誰が運営しても,無理をせずとも「安定経営が実現できた」時代であった.したがって理事長・院長は「優秀な事務長の必要性」を感じることなく経営ができた時代でもあった.
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