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Case
❶交通事故から2年を経過して初めて来院した患者が,交通事故により歩行が困難になったという障害の診断書を書いてほしいと言っています.現在,腰痛を訴えているため,MRIを施行したところ,腰部に脊柱管狭窄が認められました.本人は,事故以前,歩行に支障はなかったが,事故後は杖をつかなければ歩けず,歩行できる時間も数分が限度であり,外出もままならないと言っています.検査の結果と現在の症状は一致しないわけではありません.
❷当直帯に顔面挫傷の患者が来院しました.明らかに酒を飲んでいることが分かります.左眼は開眼できないほど,左眼瞼周囲が腫脹していました.深夜なのでCTは撮れず,眼窩骨骨折の有無などは判断できませんでした.翌日,患者が警察から診断書を提出するように言われているので,診断書を書いてほしいと言ってきました.当直医は内科医であり,外傷の診療経験に乏しかったため,加療期間を正確に推定することができませんが,腫脹が強かったのでとりあえず1カ月と書いて交付しました.
❸半年前に人工膝関節の置換術を行いました.しかし,術後に感染を合併し,再手術が必要になり,リハビリテーションにも時間がかかってしまいました.担当医としては,時間がかかったものの,概ね術前に想定されていた機能を回復しており,入院中の状態を観察していたところ明らかな後遺症はなく,術前同様,就業が可能だと考えています.
しかし,患者から,術前より状態が悪化し,以前のように立ち仕事をすることができず,新たな仕事を見つけることも困難であるとして,生活保護受給のための書類を書いてほしいと頼まれました.書類を書いてくれなければ,治療がうまくいかなかったために起こったことなので,弁護士に相談し,しかるべき措置を検討すると仄めかしています.
❹癌が疑われ,精密検査のために入院することになりました.本来は,翌日退院が可能な状態ですが,1日入院では保険金がもらえないので,もう1日入院させてほしい,保険会社に出す診断書には2日間入院したと書いてほしいと言われました.
❺事前に,心停止時には蘇生を希望しない旨の意思表示をしている患者が23時29分に心肺停止の状態になり,心肺蘇生は行いませんでした.家族が遠方に居住しており,連絡したところ,翌日の10時くらいにしか来院できないと言われました.そのため,翌日10時14分,家族立ち合いのもと死亡確認を行い,死亡診断書を作成しました.
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