連載 事例から探る地域医療再生のカギ・21
茨城県筑西・桜川地域の病院再編
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部マネジメント総合学科
pp.418-423
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210715
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■何が問題だったのか
①医療崩壊に直面する2つの自治体病院
茨城県筑西市・桜川市は,茨城県の県西部に位置し,北西部を栃木県と接する県境の自治体である.筑西市は2005年に旧下館市,旧関城町,旧明野町,旧協和町が合併した人口約10万人の市.桜川市は,2005年に旧岩瀬町,旧真壁町,旧大和村が合併した人口約4万人の市である.
2つの市は,2つの自治体病院を運営している.一つは,筑西市に立地し,筑西市が設置する筑西市民病院(173床),もう一つは,桜川市に立地し,桜川市と筑西市が一部事務組合として設置する県西総合病院(303床)で,筑西・下妻保健医療圏における急性期医療を担っていた.しかし,2つの病院では,2004年の新医師臨床研修制度以降,医師の退職が相次ぐ.筑西市民病院は,2002年度末に非常勤を含み22.3人いた医師は,2007年度末13.5人(常勤6人)に半減,県西総合病院も,2002年度に非常勤を含み34.0人いた医師が,2007年度末には20.0人(常勤17人)まで減少する.医師数の急減で,救急を始めとする急性期医療が担えない状態となり,多くの患者がつくば保健医療圏や栃木県に流出していた.流出先の高次医療機関(筑波大学附属病院,筑波メディカルセンター病院,自治医科大学附属病院)からは,重篤な患者については受け入れるものの,初期から二次医療までの患者については,医療圏内で受診できる体制を整備することを強く求められていた.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.