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■はじめに
今回取り上げるのは恵寿総合病院であるが,新病院の竣工は2013年10月であり,まだ2年ほどしか経っていない(図1).今回は,病院と関連諸施設の機能にも目を向け,病院運営・地域医療サービスとハードがどのように関わっているかを概観し,報告したい.
恵寿総合病院の設立は1934年であるから,80年以上も前のことである.今回の新築工事の直前には病院は,3つの隣接する敷地に主たる4施設といくつかの小規模施設によって構成されていたが,これらの多くは竣工後に何度かの増築・改修をしており,すでに35年以上が経過していた.今回の改築直前の建物構成を図2に示す.
ところで,法人の関連施設としては恵寿総合病院を中心に,関連病院(89床)のほか,診療所4,介護老人保健施設3,在宅事業に関わる諸施設6,障がい者事業に関わるもの7,特養・ケアハウス・サービス付き住宅など高齢者関連が5施設などを有している.これらにより健診から医療,福祉の領域にまたがる非常に広範なネットワークによる七尾市を中心とした「けいじゅヘルスケアシステム」を構築し,地域包括ケアシステムを見据えた保健・医療・福祉サービスを展開している.厚生労働省による地域包括ケアシステムの正式な英語表記は「The Integrated Community Care System」である.神野正博理事長によれば,ComprehensiveではなくIntegratedが使われていることに意味があり,超急性期から慢性期,在宅までの流れと,必要に応じて提供される介護サービスとの統合が意図されているとしている.恵寿総合病院を中心とする「けいじゅヘルスケアネットワーク」がこうした統合的なサービスを展開するために組織されたことは間違いない.
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