特集 週休2日制への対応を探る病院
週休2日制の動向と病院の対応
黒田 幸男
1
Yukio KURODA
1
1虎の門病院事務部
pp.113-116
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209224
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近時,週休2日制の実施は,労働時間短縮の具体的方策として,その導入が普遍化しつつある.それは,先進諸国の中でも年間労働時間が2,000時間を超えるのは日本だけであり,その働き過ぎが問題になっているからである.また国際貿易競争が激化する中で,今や世界有数の経済大国となった日本の輸出入バランスが崩れる要因として,賃金コスト差があげられ,その解決策として過長労働時間の短縮が取り上げられているからである.
労働省は労務行政の主要施策の一つとして1990年代初めまでに,①週40時間労働の実現,②年休消化の促進,③所定外労働時間の短縮を全産業に一般化させるため労働基準法を改正し,昭和63年4月1日から実施されることになった.しかし,これを一挙に実施することは困難であることから,段階的に実施することとし,当面,政令により46時間とし,勤務方法も,変形労働時間あるいはフレックス・タイム制の導入など弾力的に運用できる道が示されている.日本では,この労働時間に関する企業格差は大きく,大企業の多くは週休2日制を実施しているが,中小企業においては未だ48時間労働が普通であり,時短のほうはなかなか受け入れられない経営体質をもっている.すなわち,時短問題,なかんずく週休2日制の普及のいかんは中小企業への滲透が鍵と言えるのである.
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