グラフ
地域の生活に根ざした専門医療—医療法人明和会中通リハビリテーション病院
pp.193-198
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208248
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■地域に定着した訪問看護
朝9時半,今冬一番の寒気がもたらした深雪をついて,訪問看護の車が出発する.看護婦,保健婦,運転手各1名がチームを組む.最初の訪問先は79歳の元大工の棟梁.奥さん,息子さん夫婦と同居.痴呆による失見当識が著しく,家族は寸時も目を離せない.チームの介助を受けて気持よさそうに入浴後,皆の手拍子に合わせて,「仰けば尊し」を唱和する.見開いた目に涙がにじんできて,目瞬ひとつでこぼれ落ちそう.白衣を着た人には柔順になるので,症状が手に負えない時のために,家族用の白衣を家に備えている.高齢の奥さんに替って,お嫁さんがしっかり介護役を果たしているので,環境的には恵まれているほうである.
次の訪問先は81歳の元警察官.体重が重いので,運転手さんも手伝って入浴をさせる.息子さんは別居して,奥さんと2人暮らし.家族内のトラブルを考えれば,2人暮らしのほうがすっきりしているので,こういうケースが増えてきている.しかし,この家では奥さんも高血圧のため通院を始めた.病院では,介護者の疲労度や健康状態によって,1〜2か月のショート・ステイを昨年から実施しているが,当病院だけでは需要に応じきれないという.
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