バイオエシックスと医療
2.「死」とバイオエシックス
木村 利人
1
1ジョージタウン大学バイオエシックス研究センター
pp.144-145
発行日 1982年2月1日
Published Date 1982/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207670
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前稿でも述べたように,ごく普通一般の人たち(Public),つまり私たちの「社会」が,生命・身体・医療などをめぐって,どのように考え,対応し,決断するのかといったことが,バイオエシックスを作り上げて行くための重要なインプットとなっているのです.
例えば,人間生命の終わりとしての「死」をめぐって,医科学技術の発達により,今まで伝統的な死の判定の基準とされてきた心臓や呼吸器の機能が停止しても,機械によりそれらを動かしつづけられますし,「脳死」の判断をもとに,臓器の摘出と移植が行われてきたケースもありますが,それらの高度に専門的な医療行為も,最終的には「社会」がどう評価,批判するのかによって,その適否が方向付けられることになるのだと思います.
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