連載 とらうべ
「バイオエシックス」は今
飯野 洋海
1
1国士館大学教養部
pp.93
発行日 1994年2月25日
Published Date 1994/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900957
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人間の「生」はいつ始まり,いつ終わるのでしょうか。医療技術の発達は,これまで生存不可能とされていたい期出産の胎児を生存可能にし,体外受精もAIH(配偶者間人工授精)に限らず,科学的不倫などと言われるAID(非配偶者間人工授精)もその妊娠率の高さから評価されています。ヒトの凍結受精卵が長期間保存可能ということは,技術的には,世代を飛び越えての受胎と出産が可能ということになります。かつて遺伝子の組み換えによるオレンジとカラタチの間の子オレタチなどが話題になりましたが,コピー人間であるクローン人間も技術的には可能とされています。
「人の終わり」の部分に関しても,「脳死はヒトの死か」と問われているように,これまでは当然死んでいたはずの人も人工呼吸器等の出現によって延命治療が可能となり,死の境界線がある意味で不透明になってしまいました。
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