特別寄稿
現行診療報酬制度の問題点—昭和54年度長野県市町村立病院事業経営状況一覧の分析より
倉澤 隆平
1
1佐久市立国保浅間総合病院診療部
pp.490-495
発行日 1981年6月1日
Published Date 1981/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207483
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昨年は富士見産婦人科病院の悲しむべき話題が新聞紙上をにぎわしました.あの話は一つの極端ではありましょうが,筆者は医師として,日本の医療はその連続線上で病んでいると考えている者の一人です.十年前に,大学における医学,医療に絶望して,この佐久市立国保浅間総合病院にやって参り,現名誉院長の吉沢国雄先生の「一所懸命より良き医療をやって,赤字が出るなら,その赤字を誇りにしようじゃないか.」との言葉に全く共鳴して,少しでもより良い医療を行えたらと心掛けてきたつもりですが,より良いと思われる医療をやればやるほど,患者は増え,病室はめまぐるしく回転しますが,病院は赤字となり,いかに赤字を誇りと思っても,赤字が必要な人を雇えなくし,必要な医療機器の購入を困難にし,結局はより良き医療を行いがたくするというジレンマに落ち込んでしまうのが現実でした.
黒字でどんどん大きくなって行く病院もある中で,私どもの病院の何が問題なのでしょうか.
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