ほんねたてまえ
『よい病院』とは
K
pp.1003
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207316
- 有料閲覧
- 文献概要
病院管理の目標は何かと大上段にふりかざされると,答はなかなか難しい.ベターペーシャントケア,すなわちよりよき医療の提供はまさにだれも同意する目標である.たてまえと言ってよい.しかし我が国8,600の病院の,いや75,000の診療所の目指しているのはいったい何なのであろうか.
F病院事件以来医療のあり方に迫るマスコミの声はまことに厳しい.果たして真相はどこにあるのか,正確な情報が与えられていないので断定は避けたいが,その本質は,今の我が国の病院は,診療所はよい医療を利用者に提供しているのであろうかというところにあるのではなかろうか.もちろん多くの病院は良心的に,患者のための医療を行っているものと思う.F病院事件は氷山の一角といっても,大きな氷山でないことを祈っている.しかしこの事件の一つの教訓は,あの病院は利用者にとって『よい病院』だったのではないかということである.マスコミもまた利用者同様何がよい病院なのかという点について,少なくとも我々医療担当者の考えるよい病院--それは一言でいえば我々の家族に入院が必要なとき入院させる病院--とは違った評価基準で決めていることである.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.